実践!生産革新道場:言い訳する管理者には仕事の基本を教え込め
1:「言いました」の言い訳が始まった
私はある工場で生産性向上の現場指導を行なっていました。この工場では受注が増えたために、ラインを増設して対応していました。この日は5本のラインが稼働しているはずが、4本しか稼働していませんでした。私は担当者に「5本をフル稼働させないと納期に対応できないはずだ。なぜ4本しか稼働していないのだ」と質問したところ、「今朝からラインの検査工程で使用している測定治具が破損したのです。ですから1本を止めたのです」と言い始めました。「修理の終了時間は何時だ。代替えの治具はないのか」「修理はメンテナンスに連絡しました。代替えの手配は生産技術に連絡済みです」「私が聞いているのは時間だ!修理は何時に終わるのか。代替えは何時から使えるのか」「メンテナスと生産技術からは返事がありません。ですから修理も代替えも状況が分かりません。今は返事待ちです」私は頭に来て「お前は納期対応のためにラインをフル稼働させる責任があるはずだ。相手に言ったからと責任を相手に擦り付けて、自分は知らないで済ませようとは管理者として失格だ!」と怒鳴りつけたのです。
2:管理者に仕事の基本を教え込め
このように問題発生時に「私は連絡したのだから、あとは関係ない」「言ってもやってくれないのは私のせいではない」と言いだす管理者がいます。このような管理者の言い分を聞くと、自分の怠慢をごまかすために言い訳しているのではなく、本気で相手が悪くて自分が正しいと信じている管理者もいるのです。このような管理者は問題発生時に相手に連絡するだけで終わってしまいますから、問題の解決が大幅に遅くなるのです。私はこのような管理者には、次のような管理の基礎知識を教えて理解させるようにしています。
1)管理者には結果責任がある
管理者は自分の部署の最終的な結果に責任を負っています。すなわち問題が発生して目標が達成できず結果が悪かった場合、その責任を問われることになります。例え「相手に言ったけど、やってくれなかった」と言っても、結果が悪ければその責任を負うことになるのです。良い結果を出すためには、「言ったけど、やってくれなかった」で終わるのではなく、相手にやらせるまで自分の責任でフォローを行うことが必要なのです。
2)仕事はPDCAで行う
PDCAとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(対策・歯止め)の管理サイクルです。PDCAに従って仕事を進めれば必ず良い結果が出るはずなのですが、多くの管理者はPDCAの意味だけを理解して、実行していないのです。今回のケースでは、相手に修理依頼や代替えの手配などのDoは出来ていましたが、その結果の確認であるCheckを怠っていたのです。Checkを行なっていなければ、PDCAの管理サイクルが完結しませんから、仕事は終わっていないのです。PDCAは管理の基本ですから、必ずこのサイクルに従って仕事を進めることが必要です。
3)問題が解決できない場合は上司に報告する
PDCAに従って修理依頼や代替えの手配の確認を行った時に「修理に時間が掛る」「代替えがない」など、問題の解決ができない場合は諦めるのではなく、すぐにPDCAのActionを行います。この場合のActionはすぐに上司に報告を行い、問題の解決を依頼することです。担当者レベルでは出来ないことでも、トップレベルで解決が行えるケースもありますから、すぐに上司に解決を依頼することが大切なのです。