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  実践!生産革新道場:第367回:管理者は班長に正しい教育方法を教育せよ


1:作業標準書を棒読みしていた

ある工場で品質クレームが発生しました。私は対策書の内容を確認しましたが、問題の原因は「作業員が作業標準書を理解しておらず、作業を間違えた」とあり、対策は「作業員へ作業標準書の教育を行う」と書いてありました。私は担当者の管理者を呼び出して「作業標準書の教育を行うと書いてあるが、教育は行ったのか」と確認したところ、「ちょうど現場で班長が教育を行っているところです」と答えたので、早速管理者と共に現場に行き、班長の教育状況を観察しました。


班長は5~6人の作業員を集めた後、手にした作業標準書を棒読みし始めたのです。作業員はぼんやりと聞いているだけで、内容を理解しているようには見えませんでした。班長は作業標準書を読み終わると「ここにある教育記録にサインをして、現場に戻りなさい」と指示したのです。私は管理者に「班長は作業標準書を棒読みしただけではないか。これが本当に教育と呼べるのか」と質問したところ、管理者は「確かにこれでは作業員は理解できないかもしれません」と答えたのです。


2:管理者が班長に丸投げしていた

各社とも問題が発生した際に対策として、作業員の教育を行うケースが良くあります。クレーム対策会議などでも原因を協議した後、白板に「作業員に教育を実施する」と担当者と実施日を記入すると何となく問題が解決したような気になるものです。管理者は班長に「作業標準書の教育をしておけ」と丸投げするだけで、実際に現場でどのような教育が行われているか、作業員は正しく理解したのか、などを確認しないことがほとんどなのです。今回のような効果のない班長の教育でも記録上は「作業員への教育を実施した」となりますから、管理者は「これでクレーム対策は万全だ」と錯覚してしまうのです。


3:管理者が班長に教育すべき事柄とは

これでは教育の効果が無いので、私は管理者を集めて先程の班長の教育方法を説明したあと、次の事柄を指摘しました。


1)教育の意味を理解させる

作業標準書を棒読みした班長に確認したところ、班長は作業標準書を読んで作業員へ聞かせることが教育だと理解していました。ですから班長は教えたつもりになっていたのです。教育とは相手が理解していなければ「教えた」とは言えないのです。管理者は班長に教育の正しい意味を理解させることが必要です。


2)教えるポイントを指示する

今回の品質クレームは作業員が作業標準書の一部を理解してなかったことが原因となっていました。ですから班長は作業標準書の全体を教えるのではなく、作業員が理解していなかった箇所を把握して、そこを重点的に教えることが必要なのです。しかし班長は管理者から「作業標準書の教育を行え」と指示を受けていましたから、単純に作業標準書を全部教えれば良いと理解していたのです。効果的な教育のために管理者は班長に教えるべき箇所を具体的に指示して、理解させることが大切なのです。


3)技能教育を行い確認する

作業標準書の教育とは作業標準書を理解させるばかりではなく、作業標準書通りの作業 を行わせることが大事です。班長は作業員が作業標準書に書いてあることが分かれば、十分だと理解していました。今回の品質クレームの対策では、作業員が作業標準書通りの作業を行うことが真の対策となりますから、作業標準書を理解させるだけではなく、作業員に作業標準書通りの作業を行わせて、作業を確認することが必要なのです。


このように現場で班長が教育方法理解しないまま、ずさんな教育を行っていると問題が再発します。本当の問題解決のためには「作業員への教育を実施する」と白板に書くだけではなく、その教育が正しく行われているかを現場で確認することが大切なのです。