実践!生産革新道場:悪い報告は怒らないが、報告しなかったら怒れ!
1:報告がないと困っている駐在員
先日ある日本人駐在員から次のような質問を受けました。「現地管理者に報告を習慣付ける方法はないでしょうか。社内で問題発生時に報告が上がってこないのです。問題が小さなときに報告を受けていれば対処が出来るのですが、問題が大きくなり対処が難しくなってから報告が上がって来るので困っているのです」私は「なぜ現地管理者は問題の報告を上げないのでしょうか」と逆に質問しました。日本人駐在員は「報告をしたら上司から怒られるのが怖いからでしょう。管理の本にも悪い報告は怒ってはいけない、と書いてありますよね。ですから私は怒らないように努力しています。それでも報告が上がってこないのです」
2:問題時に報告しない理由
確かに部下から頻繁に報告させるために「悪い報告は怒らないようにする」ことは大切です。しかし、これは「悪い報告をしなかった場合、怒鳴り付ける」とセットになっているのです。すなわち「悪い報告をしなかった場合は怒鳴り付けるが、報告を行った場合は怒らない」が正しい考え方なのです。部下が報告をしないのは下記のように怠慢なケースが多いのですから、報告しなかった場合は怒鳴ることが必要なのです。
■部下が報告をしない理由
1)小さな問題だから報告の必要がない
小さな問題でも報告することは大切だと理解していますが、報告するのが面倒なので「小さな問題など報告しても上司は聞き流すだけでだから、報告しなくても良い」と怠慢を自分で納得させてしまいます。本当は「これは小さな問題ではないぞ」と思いながらも、報告が面倒なので「まだ小さいから大丈夫だ」と自分自身を誤魔化しているのです。
2)問題を解決するのが面倒である
上司に問題を報告すると、膨大な対策の指示を受けて「早くやれ!」と仕事が増えることになります。怠慢な管理者は仕事が増えるのを嫌うために「出来るだけ後で報告しよう」「上司の機嫌の良い時に報告するようにしよう」などと考えて、報告が遅れてしまうのです。
3)問題が好転するのを待っている
管理者は問題が徐々に大きくなっていることを自覚していますが、「誰かが自分の代わりに上司に報告してくれるかもしれない」「誰かが気が付いて問題を解決してくれるかもしれない」などと、あり得ないことを期待しているために「もう少し様子を見よう」などと、報告が遅れてしまうのです。
このような怠慢のケースで問題が大きくなってから、上司に報告しても「悪い報告は怒らない」と考えている上司は怒りませんから、怠慢な管理者はますます増長するのです。
4:悪い報告は怒らないが、報告しなかったら怒れ
私は管理者から問題を直ぐに報告させるために、問題が大きくなってから報告に来た場合は「問題との自覚がありながら、報告が遅れたのはお前の怠慢だ!」と怒鳴り付けるようにしています。報告しなかった管理者は人前で怒鳴られるために「問題は直ぐに報告しないと痛い目に遭うぞ」と骨身に染みて理解することになります。その代わり、どのような問題でも直ちに報告した場合は、私は一切怒りません。「そうか。それならこのような方向で対策を考えよう」と直ぐに問題の対策に入ります。これを繰り返していると「問題が大きくなる前に報告すれば、怒られないし直ぐに対策が出来る」と理解できて、問題の報告がすぐに上がってくるようになるのです。