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実践!生産革新道場:第269回:相手の嘘は人前で見破れ!

 

1:責任転嫁のために嘘を付く管理者

私は毎月、400名近い管理者の指導を行なっていますが、自分の責任回避のために開き直ったり、嘘を付く管理者を時折、見かけることがあります。ある工場で機械が故障してラインが停止した問題が発生しました。私は「故障箇所は日常点検を行うべき箇所だ。異常の有無を確認するので日常点検表を見せてくれ」と指示したところ、担当の管理者は「日常点検表はありません」と答えたのです。驚いて理由を質したところ「この機械は3ヶ月前に設置したばかりですが、業者が保守マニュアルを提出していません。だから日常点検表を作ることが出来ないのです」と言い出したのです。私が「業者には保守マニュアルを催促したのか」と詰問すると「もちろん催促しました。しかし持ってこないのです」と開き直ったのです。

 

2:相手の嘘は人前で見破れ

このように「相手に言ったけどやってくれない。だから仕方がない」との安直な発想の管理者がいます。このような管理者は「保守マニュアルが届いたら、日常点検表の仕事が増える。届けない業者が悪いとしておけば、責任転嫁が出来て仕事が楽になる」と考えていることが多いのです。このような管理者の考え方を修正するには、仕事の責任を果たしていないことを指摘して「本当に催促を行ったのか」「催促を行ったのであれば、催促の方法が悪かったのではないか」と追求することが必要です。

 

私は「お前の仕事は日常点検表を作成して運用することにより、機械の故障を防ぐことではないか。日常点検表が出来ていないとは、仕事の責任を果たしていないことになる」と指摘しました。管理者は「業者に何回も保守マニュアルを催促したけど、来ないので日常点検表を作ることが出来ないのです」と言い出しました。私はすぐに次のように質問しました。

 

「何回も業者に催促したと言うが、正確な催促の回数とその日付を説明せよ」「記録は付けていないので正確には覚えていませんが、今月は2回程催促したと思います」「メールで催促したならば、送信と相手の返信をプリントアウトして見せてくれ。電話なら日時を示した通話記録があれば見せなさい」「催促は電話で行いました。通話記録はありません」「電話した相手の名前と相手の言い分を言え」「相手はAさんです。保守マニュアルは更新中のために遅れると言っていました」私は相手の顔色を見ていましたが、嘘を付いているような感じでした。

 

そこで、他の管理者を会議室に集めて、問題の経緯を説明したあと「これから私が直接、業者のAさんに電話して、今月は何回催促があったか、保守マニュアルの更新はいつ終わるのか確認する。Aさんの電話番号を教えてくれ」と言ったのです。そして私とAさんのやり取りが会議室の管理者全員に聞こえるように、携帯電話のスピーカーをオンにして電話をしました。

 

私がAさんに尋ねたところ「今月は催促など無かったですよ。保守マニュアルは御社が受け入れ担当者を決めているということで、その返事待ちです」と答えたのです。

 

開き直ったり、嘘を付く管理者を修正する場合は、優しい言葉で諭しても教育効果は薄いのです。このような管理者には開き直ったり、嘘を付くと本当に痛い目に遭うことを体感させることにより、「2度としてはいけない」と思わせることが大切です。良く「海外では人前で注意してはいけない」と言いますが、私は必ず人前で注意するようにしています。人前で注意することにより、当人に強い反省を促すことと、他の人が「何をしてはいけないのか、何をすれば良いのか」が理解できるからです。