実践!生産革新道場:第64回目:ディスカッションで能力向上を図れ
1:ディスカッションが出来ない
現地管理者に不良の対策を考えさせるために、ディスカッションを行わせています。不良対策会議では担当者から概要を説明させた後、ディスカッションをさせるのですが、いつも特定の人が一方的に話すだけで終わってしまいます。ディスカッションをさせることにより現地管理者の能力を伸ばしたいのですが、どうすればよいのでしょうか。
2:効果的なディスカッションの手法
ディスカッションは上手に進めれば現地管理者の能力向上に大変役立ちます。「相手の意見を良く聞く」「自分の考えをまとめて述べる」「他の人の意見とすり合わせてベストの方法を導き出す」これらを繰り返すことにより、問題の解決能力が身に付いてくるのです。私の研修でも問題解決時は何回もディスカッションを繰り返して、管理者の能力を高めるようにしています。私が研修で行っている効果的なディスカッションの手法をご紹介します。
2.1:グループ分けをする
私は活発に議論させるために、小グループに分けてディスカッションを行わせます。例えばディスカッションする管理者が20名いる場合は5名ずつ4チームに分けて、ディスカッションさせるのです。人数が少なければ少ないほど緊密なディスカッションが出来るようになります。
2.2:テーマに応じて議長を決める
ディスカッションでは議長の仕切りが大事です。通常は職制が高い人が議長となってディスカッションを行いますが、ディスカッションのテーマの担当者に議長を行わせた方が、問題を良く理解しているだけに効果的に進むことが多いのです。
2.3:全員発言を強制する
ディスカッションは問題対策の場であり、教育の場でもあるのです。管理者の能力を向上させるためにも全員が均等に発言する必要があります。ディスカッション開始時には全員が発言しなければ行けない旨を周知徹底しておきます。リーダーには各自の発言を注意して、発言していない人には発言を促すようにさせます。
2.4:現場で立って行う
私は会議室で椅子に座ってディスカッションを行わせることは滅多にありません。ディスカッションの基本は現場で立って行うことです。ディスカッション中に確認したいことがその場で確認できるし、必要な人やものや情報はすぐに集めることが出来ます。また立って行わせると無駄話が無くなり、緊張感も出るものです。
2.5:時間を決める
ディスカッションに緊張感を持たせるために、最初に終了時間を言い渡します。私は通常、長くても10分で終わらせます。終了3分前になったら「あと3分だからまとめに入れ」と指示を出して、まとめに入らせます。10分経って出来ていない場合は、出来具合を見て「あと3分でまとめよ」と1回だけ延長させます。
2.6:遠慮無く割り込む
ディスカッションのメンバーの発言内容、表情や態度を良く観察します。態度が悪い場合はその場で注意します。また私はメンバーから「本当はこうだったのだ」と本音が出たら「今何と言った?」すぐに割り込んで、話を引き出してしまいます。ディスカッションでは思わぬ本音や意見が飛び出すことが多いので、真剣に観察してどんどん割り込むことが大事なのです。
2.7:結論を突き返す
ディスカッションが終了したら、結論をチーム毎に発表させます。そして私が総括しますが、内容がずれている対策であれば「この対策はこのような理由で納得できない。このような考え方で再度ディスカッションせよ」と突き返して、ディスカッションを繰り返し行わせます。これによりこちらの考え方に沿った発想が出来るようになるのです。
ディスカッションは管理者教育に最適ですから、ぜひ活発に行わせて管理者の能力を向上させて下さい。