1:効果的な不良対策を行う手法
効果的な不良対策を行うためには、現場で精度の高い情報を数多く集めることが大切です。この情報の質と量が良ければ、効果的な不良対策を立案することが出来るのです。管理者は効果的な不良対策を立案するために、次の事柄を守るようにします。
1)現場に行き確認する
不良発生の報告を受けたら管理者は直ちに現場に行くことが必要です。しかしこの当たり前のことができていないのが現実なので、次の事柄を正しく理解します。
■優先順位を考える
不良発生時に現場に行かない管理者に理由を聞くと「会議が入っており、忙しくて行けませんでした」「資料をまとめていたので、時間がありませんでした」などと言い訳することが多いのです。管理者は仕事の優先順位を考える必要があります。工場には「品質優先」との方針がありますから、現場で大量の不良が発生している場合はこの不良対策が最も優先されることになるのです。管理者は仕事の優先順位を考えて、時間を調整して現場に行くことが必要なのです。
■部下に任せない
管理者の中には「自分は忙しいのだから部下に現場に行かせて、報告を聞けば良い」と考える人もいます。しかし実際には部下から報告を受ける時間や再確認を指示する時間、そして再確認の報告を受ける時間などかなりの時間を取られてしまい、結局自分で現場に行った方が早かったとのケースも多いのです。そして何よりも自分自身が現場で見たり聞いたりした情報は部下の報告より圧倒的に精度が高いので、対策立案に必ず役立つのです。
2:現場の状況を観察する
管理者は現場に着いたら現場の状況を冷静に観察することが必要です。この観察により精度の高い情報を数多く得ることができるのです。この現場の観察時に大切な事は次の2項目となります。
■観察に時間を掛ける
管理者の中には現場に行ったアリバイ作りのために、短時間で切り上げてしまう人がいます。これでは精度の高い情報を得ることができません。現場観察の目的は精度の高い情報を数多く得ることです。そのためには現場をあらゆる角度から時間を掛けて観察することが必要なのです。当然時間も掛かりますし、体力も必要となります。場合に寄っては繰り返し現場に行く必要も出てきます。現場観察での情報は不良の対策につながりますから、自分で納得できるまで時間をかけて現場観察を行うようにします。
■問題意識を持つ
現場観察に時間を掛ければ良いと言っても、ただぼんやりと現場を眺めているだけでは何も得るものはありません。現場観察で大事な事は問題意識を持って現場を観察することです。「作業員のこの動作が原因ではないか」「この治具に問題があるのでは」「作業員の知識や技能が不足しているのではないか」などと、自分の頭の中で仮説を立てて、その検証のために現場を観察することが必要です。問題意識を持って現場を観察することで、現場の異常が見えてくるのです。
3)作業員へインタビューする
現場の状況や不良の発生時の状況を最も理解しているのが現場の作業員です。管理者が現場に行った際は、必ず担当の作業員にインタビューして情報を引き出すことが大切です。このインタビューの際は次の2項目を守るようにします。
■現場でインタビューを行う
管理者の中には作業員を別室に連れて行き、そこでインタビューを行う人がいますが、これでは作業員が緊張してしまい、正確な情報を引き出すことが難しくなります。作業員の意見を聞くときは、現場で行うようにします。現場でインタビューすることで作業員は緊張せずに答えることができます。さらに「この治具の動きがおかしいです」などと、で現物を見ながら説明して貰うことができるのです。
■免責事項を理解させる
作業員のミスによる不良発生の可能性がある場合は「お前がミスしたから不良が出たのだろう」などと高圧的に質問すると、作業員は怒られるのが嫌で嘘をつく可能性があります。このような問題を防ぐために管理者は「ミスを正直に言えば、怒ることありません。次に注意すれば良いのです」と説明して理解させることが大切です。作業員がミスしたことを話しても怒られないと分かれば、安心して事実を説明するようになるのです。
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