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  実践!生産革新道場:管理者の言い訳と問題のすり替えを論破せよ!

 

1:言い訳をする管理者への対処

前回のコラムでは言い訳をする管理者についてその責任転嫁と問題のすり替えの二つのパターンを解説しました。工場では毎日、多くの問題が発生していますが、管理者の責任転嫁と問題のすり替えを認めてしまうと、問題が再発する上に管理者の能力も向上しないのです。問題の再発防止と管理者の能力向上のためにも、責任転嫁と問題のすり替えを論破して、相手に間違いを認めさせて反省させることが大切なのです。私はこのような管理者を次のように論破しています。

 

2:管理者を論破する2つのステップ

私の研修では問題発生時には現場で詳細を確認しますが、相手が言い訳や問題のすり替えをする管理者の場合は、最初に責任者を明確にして現場に行くこともあります。

 

1)責任者を明確にする

「ラインに入ったばかりの新人がミスを起こした」などの問題が発生した場合、最初に誰の責任なのかを明確にします。この問題には少なくとも3名の人が関わっています。1人目はミスを起こした作業員当人です。2人目は作業員がミスを起こさないように管理する班長です。そして3人目はこの班長を監督する管理者となります。

 

私は責任を明確にするために、管理者に次のように質問して行きます。「新人がミスを起こさないように管理する責任者は誰か」「それは班長です。班長が新人に仕事を教えたあと、確認するルールだからです」「今回の問題は班長にも責任があると言うことだな」「そういうことになります」「それでは、班長に新人の管理を適切に行うように指導するべき責任者は誰だ。」このように詰問すると管理者は「それは班長の上司である私となります」と答えざるを得なくなります。

 

「なるほど。今回の問題では管理者であるお前も責任があると言うことだ。問題が発生した以上、お前の管理にミスがあったということだな」と管理者に責任があり、管理方法にミスがあったとことを明確にして、共通の認識としてしまうのです。

 

2)管理ミスの事実を明確にする

管理者の責任を明確にしたあと、現場で事実を確認します。この時に大事なことは「責任者の管理のどこが間違っていたのか」を明確にすることです。これを軸にして現場の確認をしないと、管理者の言い訳や問題のすり替えの罠に嵌ってしまうからです。班長の管理を中心に現場を調べると「作業標準書を使わずに口頭で教育を行っていた」「教育終了後、内容を復唱させるルールを守っていなかった」「教育終了後、作業に立ち会い品質確認をすることになっていたが、これを怠っていた」などの問題が出てきます。

 

管理者に「班長は作業標準書を使わずに作業を教えていたではないか。これはルール違反だな」と詰問すると、管理者は「納期に追われて教育の時間がありませんでした」「この作業標準書は、作業内容と合致してない箇所があります。作業標準書を作った生産技術が悪いのです」と言い訳や問題のすり替えが始まります。この時は絶対に「責任者の管理のどこが間違っていたのか」の軸を動かしてはいけません。「誰もそんなことを聞いていない。ルール違反かどうかお前に聞いているのだ」「「だから納期が間に合わなかったのです」「私の質問に答えよ。ルール違反かどうかイエスかノーかで答えよ」「作業標準書を使わなかったのはルール違反です」

 

このように、管理者に責任者のミスを認めさせるのです。そして「復唱のルールを守っていなかった」「作業時の品質確認を怠っていた」などの問題も同様の論法で管理者にミスを認めさせます。管理者が責任者とミスを認めてしまえば、責任転嫁や問題のすり替えが出来なくなりますから、あとは問題を解決に専念できるようになるのです。