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      坪内寿夫氏のコストダウンとは(経費節減その8)

 

企業は利益を上げて成長、発展を続けることが使命です。従って会社の目的は利益の拡大となりますから、会社で働く社員の活動、行動は全て利益に結びつかないといけないのです。もしこれらを怠って赤字になってしまえば、縮小、撤退、果ては倒産の道を歩きはじめることになります。コストダウンの要のとなる管理者は常にこの意識を持っていなければいけません。コストダウンといえば再建王こと坪内寿夫氏が有名ですが、この再建時のコストダウンはすさまじいものがありました。有名な話をいくつか上げてみましょう。

1 20(ニイマル)作戦の実行
工費、材料費、経費の全てを前年比で20%の削減の指示を出しました。誤差の防止、工程の改善、職場の多機能化、ボルト1個、溶接棒1本まで徹底して断行、20作戦終了後は毎月1%のコストダウンを行い、これにより年間1割程度のベースアップを吸収するようにしました。

2 時間内の完全就労
「終業時間が5時ならば、5時に会社の門を出るのはおかしい」1000人の社員が5分無駄にしたら約83時間、年間就労日数を300日とするとなんと24900時間になり約10人の年間労働時間に匹敵する。一日5分の節約で10人節約できるとの発想で従業員には「完全就労」を徹底させました。また管理職には「完全就労以上」としたのです。従業員が定刻の8時にすぐに仕事を始めるためには部課長の打ち合わせは8時前に終了していなければいけないとして、管理職の出勤は定時の1時間前としました。すなわち朝7時に出勤して打ち合わせ事項を終了、7時半には現場入りし8時にはすぐに作業開始となるわけです。

3 管理職の現場への配転
佐世保重工の時は460人いた管理者を役員を含めて37人し、残りを利益を出す現場へ配転しました。また来島どっくでは総務、勤労、庶務の3課で合計91人いたのですが、これも金を生む部門に配転とするため勤労課の3名を残して、残り全員を配転させました。すなわち総務部を実質的に廃止したのです。この他にも現場から遠くなる、決済はどこでもできると役員室、社長室は廃止しました。


坪内氏は自ら率先模範で示すため、ゴルフも一切やらず、役員専用車は「外車はもちろん国産でも高級車は駄目だ。また自分で買ったり、女房、子どもにそんな車を買う奴は月給カットかクビだ」と役員専用車は売却してお金を払ってタクシーを使っていました。


生活態度が仕事に現れるとして贅沢を嫌い、質素な家とおかずが「めざし」であったのも有名な話です。また「管理職には休みは必要ない」と会議は土日に行い、自分自身も「完全就労以上」を上回るため365日、24時間休みなしと公言して仕事にあたってきました。坪内氏にはその手法に賛否両論ありますが、「会社は利益を出すところで儲かればよいのだ」との姿勢を貫き、それを自ら実践してきたたことは経営者、管理者ともに学ぶべき点も多いと思います。コストダウンも掛け声だけではなく、管理者自らが率先して全身全霊を打ち込んでこそ効果が表れると思います。