みんなで進める品質管理(その2)
海外で駐在員として働いていると否応無しに「日本人の特性」と言うことについて考えさせられることが多々あります。この特性は歴史学、地政学、民族学など多くの見地から分析することがで来ます。
一例として民族学的発想で見ると日本人は「理性、感情同居型民族」と言うことがで来ます。この特徴としては「意気に感じることは熱心に行う」「階級差が嫌い」「議論よりも感情を大事にする」などがあります。確かに日本的経営の組織論では組織を作るときは意見の合致よりも、相手の好き嫌いで作った方がうまく行くというのは鉄則です。相手に好感を持つもの同士で作った組織は意見や考え方が対立しても「相手をなんとか認めよう」とお互いに努力しますから、建設的な展開となり良い結果を生み出すことが多いのです。
ですから会社では階級が上になればなるほど「相手を好きになるように努力する」必要が出てきます。ここタイでも日本人駐在員自身が仕事をやりやすくしようと思ったら、やはり部下を好きになることが大切だと思います。100%完璧な部下などはどこの世界にも存在しませんから、まず部下の良い点を探し出してそこを好きになる、好きになれば相手の言うことも親身に聞けるようになる、そうなれば部下も上司を信頼するようになってきます。
さて前回は品質向上のため作業員が毎日、守る事柄として次の項目を簡単に説明しました。1作業標準を守る2 品質の連絡を良く聞いて理解する3 製品の取り扱いに注意する①作業標準の取り扱いを守る② 汚れ、ホコリなどが付かないようにする③「振動」「衝撃」を与えない。今回はその続きとなります。
4 小さな異常でも報告する:
大きな品質のトラブルの際は、必ずそれが発生する以前に小さな前兆を示しているものです。品質の良い製品を作るためには不良発生の小さな前兆を捕らえて、早めに対処することが大切です。わずかな異常でも発見したら直ちに上司に報告しなくてはいけません。例えば次のようなことが起こったらすぐに上司に報告するようにします。
①いつもと違う現象が起きたとき:
例えば「製品の外観がいつもと違う」「機械の音がいつもと違う」など小さなことでも大きな不良発生の原因につながることがありますから直ちに上司に報告します。
②作業標準通りの作業ができないとき:
いつもと同じように作業標準に従って作業を行っているにも関わらず、作業がうまく進まないときは品質に異常が発生している可能性があります。このような場合もすぐに上司に報告してその指示に従います。
③ 測定器、治具が異常なとき:
使っている測定器、治具などが「いつもと違う感じがする」など異常を感じる場合は精度が正しくない可能性があります。このような場合は直ちに上司にこの異常を報告して確認してもらいます。
④ミスを起こしたとき:
作業中にミスなどを起こした場合は直ちに上司に報告します。もし「上司に怒られるのは嫌だから」と考えてミスを報告しないと、このミスが原因で大きな品質問題になる可能性があります。ですからミスを起こしたら直ちに上司に報告してその指示に従うことが大切です。
品質管理では「小さいことだから報告しなくてもよい」と言う考えは大敵です。作業員に品質教育を行い、小さなことでも上司に気軽に報告できる雰囲気を作っておくことが大切です。